男子校生の大学受験には2つの特徴がある。「団体戦」と「ラストスパート」である。超難関校の併願校として実績があり、主要国立大にも「逆転合格」できるような、首都圏の人気男子・共学中高一貫校を見ていこう。(ダイヤモンド・セレクト編集部)
● 変わる超難関校の併願校選び
首都圏、とりわけ東京23区と横浜市では、2月1日に超難関校の入試が集中している。一発勝負というわけにもいかないので、いくつか併願することになるが、早く合格を勝ち取りたいという受験生の気持ちに応えた1日午後入試に人気が集まっている。特に、1科入試で解説した。
年内に一般入試がある茨城県の茨城や年明け早々に行われる清真学園などは、早めの合格体験をするにはうってつけの学校かもしれない。
1月中旬にはさいたま市の栄東と開智、下旬に向けて千葉の東邦大東邦と昭和学院秀英の人気が高い。
注目すべきは、2020年は日曜日となる2月2日の入試である。安息日ということで、青山学院は翌3日に入試日を変更した。この点については以前の連載でも触れたのでご参照いただきたい。
逆に例年は2月3日に入試を行っているカトリック校の暁星が2日に入試日を移した。2020年入試最大の目玉である。それは、倍率が極めて軟化するのではないかと予想されているからだ。
中学の3年間、「情報」の時間を設けて、すべての生徒がプログラミングなどを学べるようにするなど、入学後の面倒見の良さには定評のある城北のように、実倍率2倍程度が併願校としてはありがたい水準である。東大合格実績が大幅に増加し、急速に注目を集めるようになった巣鴨は、鎌倉学園と並び3倍台になりそうだ。
青山学院や慶應義塾中等部が並ぶ2月3日は、国公立の一貫校の入試が行われることもあって、どこに出願するか迷う男子受験生も多いだろう。東京では男子校の学習院、横浜では共学校の公文国際学園、桐蔭学園中等教育学校に人気がある。
2月も4日、5日となると受験も終盤戦である。1月入試では2倍台の市川も、4日の入試となると11倍近くに跳ね上がる。早期合格志向が強まっていることもあって、予想実倍率は前年実績よりも低下傾向にある。その中で、共学校の成蹊が受験者増の予想となっている点に注目したい。
次ページに2020年入試の予想実倍率を掲載したが、模試で志願者が多かった入試を優先したため、2回目、3回目の入試が中心となっている。2019年入試実績値との差を見ると興味深い。
● 男子校ならではのクラブ活動と進路企画
男子校の魅力の一つに多彩なクラブ活動や文化祭がある。
学習院は今年で3年目となったクラブ体験会(7月)が、参加クラブ数も増え、参加者は過去最高となったという。高校ホッケー部、中高の陸上競技部、中学テニス部、中学囲碁チームが、この数年間に全国大会へ進んでいる。
国際学級創設から30年目を迎えた攻玉社では、全国大会出場の将棋部に加えて、鉄道研究部、レゴ部、ガンダム研究部などと、男子生徒が心置きなくオタク心を発揮できるクラブ活動に人気がある。
超難関校の併願校として定着した感のある世田谷学園では、特設サイトを生徒自ら立ち上げ、開場時間を1時間前倒しするといった実行委員会の工夫が功を奏し、54回目となる学園祭「獅子児祭(ししじさい)」の来場者数が初めて1万人(前年比+2100人)を超えた。「算数特選入試」の特待生が20人を数え、理数教育に力を入れていることも浸透してきているようだ。
OBの層が厚い伝統校では進路企画で真価を発揮する。桐朋では、千葉大・横浜国立大・東工大・電気通信大・成蹊大・慈恵医大・杏林大・東大・東京農工大など近隣にある大学で研究室を構えるOBから招待を受けての研究室訪問シリーズが回を重ねている。
11月下旬、ヨハネ・パウロ二世以来38年ぶりに来日するローマ教皇フランシスコの東京ドームで開催されるミサに、サレジオ学院は全校の生徒・教職員が参加する。これなどはミッション系らしい活動である。
ダイヤモンド・セレクト編集部/森上教育研究所