今年の近畿2府4県(大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山・兵庫)の統一入試開始日は1月18日で、小学校卒業者数は、昨年から19万人台となり、今年はさらに昨年より2100人減った。
日能研関西の推定によれば、近畿圏の中学志願者総数は5万1033人で昨年比約1200人減。
統一入試日初日の18日の受験者数1万7450人を実質受験者数とみると、昨年に続き受験者は減少傾向にある。
今年の特徴は、午後入試が一般化し、学校にとっては入試日の設定や生徒の確保が一層難しくなり、受験者にとっては選択肢が広がっていることだ。その中で、受験者・保護者に注目されたのはグローバル教育やキャリア教育だった。(資料提供・日能研関西)
2006年から統一入試が導入された近畿圏では、今年は1月18日が入試開始日となった。受験生がダブらない18日時点での私立中学受験者数が実質に最も近いとみられ、日能研関西調べによれば、18日の受験者数は1万7450人で、昨年と比べると421人の減少となった。
この初日受験者数が小学校卒業者数に占める割合(受験率)は8.91%(昨年9.03%)で、昨年より0.39ポイント下がった。受験率は2010年に9%台となり、今年はそれも切って8%台に突入した。志願者総数は、統一入試が始まった2006年以降、2007年には卒業生増などで戻したものの、減少傾向が続いている。
今年春の卒業者数は19万5854人で、昨年より2145人減少した。2年前の2012年卒業者数から見ると4597人も減少している。
志願者総数は、5万1033人で、昨年より1254人減少した。しかし、逆に総定員は1万8561人と昨年より297人増加。これは新設校や共学化による女子募集があったことによる。学校にとって生徒確保はさらに厳しくなっているようだ。
入試日程も午後入試が初日18日に32回(昨年16回)、全体では76回(昨年52回)と増加し、入試日程が短期決戦型になっている。
府県別で見てみると、
京都では男子校・女子校・共学校の別なく志願者が減少した。とはいえ洛南は914人の志願者を集めるなど、人気校は一定の志願者を集めている。その中で、帰国生が3分の2を占めグローバル教育を実践する同志社国際が注目された。志願者の減少は公立の京都市立西京高校附属や京都府立洛北高校附属なども同様だった。
大阪では、男子校では明星がA日程午前327人と昨年より61人増となった。人気の大阪星光学院も751人の志願者を集めた。女子校では四天王寺が総志願者総数は減少したものの新設した医志コース(定員35人)に360人が志願した。帝塚山学院も安定した人気だった。共学校では、清風南海が統一入試初日に午後入試を設置。「スーパー特進」「特進」を募集し667人が出願、大幅増となった。開明は「サイエンス教育」が評価され、関西大倉と近畿大学附属はキャリア教育が評価されて志願者を増やした。高槻は減少したとはいえ総志願者数は2048人となった。
兵庫は男子校では最難関の灘で志願者が693人と昨年より55人増加。実受験者ベースでも70人増加した。カトリック系の六甲は新校舎を完成させ、淳心学院もコース制を今年から導入、人気は安定している。甲南は新コース制となり「フロントランナー・コース」が注目された。女子校では、親和がグローバル人材育成を目指す「Sコース」を設置し注目された。共学校では、関西学院と白陵は前期試験で男子が微減したものの女子が増加。今春開校した東洋大学附属姫路は、60人の募集に志願者総数は180人だった。
奈良は、男子校では東大寺学園の人気は変わらない。志願者は減少したものの20日1回のみの入試で939人の志願者を集めた。共学校では、男子校だった西大和学園が共学化、女子40人の募集に214人が受験した。帝塚山の「英数スーパー選抜」や奈良学園の「医進」「特進」も多くの志願者を集めた。
近畿圏ではないが、
岡山では、近畿統一入試の前哨戦といわれる1月5日入試の岡山白陵で、今年はさらに非専願が増加、専願と合わせると1021人の志願者を集め大幅増となった。近畿圏における午後入試の増加で非専願に拍車がかかったようだ。また、2009年に共学化した就実、岡山学芸館清秀も受験者を集めた。
広島では、男子校の広島学院、修道、広島城北で志願者が増加。女子校のノートルダム清心も志願者を増やした。
近畿圏では、人気校が統一入試開始日に午後入試を導入したことで、受験者には多様な併願が可能となったものの、一部の学校では志願者減の影響が出た。
小学校卒業者の減少と受験率低下傾向はあるが、私立中学には独自の理念と魅力あふれる多彩な教育がある。それをいかに家庭に届けるかが課題のようだ。今年、改めてグローバル教育やキャリア教育が注目されたのも、保護者が大学進学に加えて、その先を見据えているからといえるだろう。
日能研関西調べ
日能研関西調べ
今春の近畿圏の中学入試結果
受験者数は減少傾向にあるが
午後入試拡大で併願者数増え 志願者総数は増加
今年の近畿二府四県(大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山・兵庫)の統一入試開始日は一月十九日となり、二〇〇九年から二十万人台だった小学校卒業者数が十九万七千九百九十九人と、昨年より約二千五百人減った。しかし、日能研関西の推定によれば、近畿圏の中学志願者総数は五万二千二百八十七人で昨年より約三千六百人増加。この志願者総数の増加は、午後入試の拡大により併願がしやすくなったためだ。統一入試日の十九日の受験者数一万七千八百七十一人を実質受験者数とみると受験者は減少傾向にある。統一入試導入以降、受験生の志望校絞り込みと不況の影響、卒業者数の減少などで減少傾向が続いている。今年の特徴は、午後入試が全エリアで増加し、受験者にとっては併願受験の幅が広がったが、私立中学側には後期日程志願者数の大幅減少をもたらした。その中で大学付属が志願者を増やしていたのが目立った。(資料提供・日能研関西)
二〇〇六年から統一入試が導入された近畿圏では、今年は一月十九日が入試開始日となった。受験生がダブらない十九日時点での私立中学受験者数が実質に最も近いとみられ、日能研関西調べによれば、十九日の受験者数は一万七千八百七十一人で、昨年と比べると三百六十一人の減少となった。この初日の受験者数が小学校卒業者数に占める割合は九・〇三%(昨年九・一〇%)で、昨年より〇・七ポイント下がり、二〇〇九年から低下傾向にある。
志願者総数については、統一入試が始まった二〇〇六年入試で大きく落ち込み、翌二〇〇七年には卒業生増と私学志向もあって戻したものの、その後は減少傾向となっていた。今年は午後入試の拡大で、志願者総数だけは二〇一一年のレベルに戻った。
近畿圏の場合、一校当たりの試験実施回数は首都圏に比べて少なく、これまでも試験日を後にずらしても受験生がそれほど集まらない傾向があったが、午後入試の拡大で今年はさらにそれが顕著となった。
府県別で見てみると、京都で志願者が増えたのは、男子校では東山中、女子校では同志社女子、京都女子、京都聖母学院など。京都女子はB午後日程(二十一日)を設定した分が増加した。共学校では龍谷大学付属平安、立命館、京都産業大学附属大谷などで増加。立命館は後期入試(二十日)の増加が目立った。
大阪では、男子校で志願者が増えたのは、大阪星光学院、明星、高槻など。明星は午後入試を新設した。女子校では大谷が十九日に午後入試を新たに設置して大幅増となった。共学校では、関西大学中等部、関西大学北陽、開明、同志社香里、帝塚山学院泉ヶ丘、清風南海などで志願者増となった。
兵庫は、男子校では最難関の灘で志願者が増加。六甲、滝川も増加。共学校では関西学院、白陵、須磨学園、神戸龍谷、滝川第二などで志願者増となった。滝川と神戸龍谷は十九日午後入試を新設している。
奈良は、男子校の西大和学園が一月十四日の全国入試で新たに広島と札幌に会場を設置し増加。東大寺学園の人気は変わらず、志願者は減少したものの二十一日一回のみの入試で九百五十二人の志願者を集めた。共学校では、帝塚山の男子英数・女子英数・女子特進や奈良学園の医進・特進が、志願者数こそ減少したものの、変わらず千人以上の受験者を集めた。
そのほか、岡山白陵(一月六日)は非専願が大幅増となった。ただ、例年多数の受験者を集める岡山(一月四・五日)が志願者減となった。これは近畿圏における午後入試の増加や兵庫私学のプレテストの影響とみられる。
今年の特徴は、人気校が統一入試開始日に午後入試を導入したことで多様な併願が可能となり、受験者は早期に志望校の合格を得られたことだ。しかしその影響で学校としては後期入試の実際の受験者が大幅に減ってしまう結果となった。
また、兵庫でプレテストが解禁になったことで、報徳学園・親和・神戸龍谷・仁川学院・芦屋学園がプレテストを実施。関西日能研によれば、これらの学校を受験した生徒たちが、年明けから統一入開始日までに試し受験をしておらず、プレテストが事前入試として活用されたようだという。
近畿2府4県の中学総志願者数等の推移(単位:人)
2009年度
18720総定員 58038総志願者数 28276総合格者数 200272卒業生数
2010年度
19329総定員 54982総志願者数 28983総合格者数 200319卒業生数
2011年度
19262総定員 52586総志願者数 29273総合格者数 203271卒業生数
2012年度
18859総定員 48633総志願者数 27209総合格者数 200451卒業生数
2013年度
18264総定員 52287総志願者数 28692総合格者数 197999卒業生数