首都圏 入試報告

今春の首都圏中学入試報告  

私立と公立の併願が一段と増加

日能研調べ

2014 


受験率は微減し18.8%に

現代のニーズ 取り込む私学に高い支持


  今春の首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)中学入試は、小学校卒業者数が三十万六千七百十一人と昨年より千四百人ほど多かったが、受験者数は五万七千六百人と昨年より千八百人減少した。小学校卒業者の中学受験率も18.8%(昨年19.5%)と0.7ポイント減となり、昨年に続いて低下した(いずれも日能研調べ、首都圏の公立一貫校の受験者も含む)。ただ、併願校数は五・〇校で変わらない。受験者数が減少し続けている中で併願校数のみ変わらないのは、一月入試や午後入試が浸透したためだ。今年は新規開校もあり募集定員数が約五百人も増え、私学にとっては一段と厳しい年になった。受験者は、一日入試・二日入試で合格をもらうと、早々に進学先を決めてしまい、三日以降の入試に受験者が集まらない傾向が見られた。また、特待生・奨学生制度を設置するところに今年も受験者が集まった。帰国生入試をする学校も年々増えている。今年は私学と公立との併願が一段と増え、両方とも合格すると、公立に行く傾向が強まった。しかし、一方では、教育改革ともいえる取り組みをしている私立中学に保護者の支持が集まってもいる。


 今年の首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)中学入試の特徴は、受験者数・受験率ともに昨年よりさらに低下したにもかかわらず、募集定員が増加したことで生徒の確保が一段と厳しくなった。また受験者が早期に学校を決める傾向が強まり、試験期間を長く取っても質の良い生徒の確保にはつながらなかった。
 また、年々受験者が増加していた大学付属校の人気が一段落した。景気の低迷で中高大と十年間の学費負担に不安が残るということもあるのだろうが、保護者と受験者に、六年後の大学受験時にもう一度幅広い視点で大学選びを考えようという意識が働いているようだ。一方、中学選びでは、コミュニケーション力や問題解決力など社会で要請されている力を付けるような教育内容や、海外大学進学をも視野に入れた教育を行う学校が注目された。そのほか特別進学クラス募集や特待生・奨学生制度のあるところへの受験は昨年に引き続き多かった。
 

  首都圏の小学校卒業者総数は三十万六千七百十一人と昨年より千三百八十二人増加した。しかし受験者数(五万七千六百人)、受験率(一八・八%)ともに昨年より低下、低下幅も大きかった。受験者数・受験率ともに二〇〇九年のピーク時から低下し続けている。これに対して募集定員総数は四万六千四百八十五人と昨年に比べ五百四人も増加。公立中高一貫校の定員も含むとはいえ、募集定員は年々増加。定員を確保するために上限まで合格を出すと、上位合格者と下位合格者の学力差が広がるという事態も起きているようだ。
 公立中高一貫校が首都圏全域に拡大していることもあって、私立と公立を併願する傾向が一段と強まっている。日能研調べでは、公立も私立も受かった場合、受験者が公立を選ぶ割合が増加している。
 都県別の受験率を見ると、昨年に比べて一都三県全てで受験率が下がった。全体として、二〇〇九年をピークに低下し続けている。
 

  東京の受験率は二十八.〇%と前年比一.一ポイント減となった。首都圏内で最も中学受験率が高いものの、前年比低下率も大きかった。受験者数は二万八千百人で昨年より千人減少した。
 

  埼玉の受験率は十四.九%と、前年比〇.四ポイント減。昨年は十五.三%、〇.三ポイント増だったので、一昨年に戻ったことになる。受験者数は三百人減少した。しかし、首都圏で最初に中学受験のスタートを切る埼玉は、人気校には変わらず出願が多かった。
 

  千葉の中学受験率は十二.四%と前年比〇.一ポイント減。昨年の一.九ポイント減に比べれば落ち込みは少なく、百人の受験者減にとどまった。ただ、例年通り首都圏では最も低い受験率となっている。もともと千葉は地元志向が強く、あまり変動しない。
 

  神奈川の受験率は、十五.一%(昨年十五.九%)と前年比〇.八ポイント減。受験者数は一万二千六百人と前年比四百人減となった。昨年は東日本大震災の影響で女子受験者の神奈川県内受験率が高くなったが、今年は東京・埼玉への受験がかなり復活した。
 

 

  東京・神奈川は二月一日・二日、各午前・午後入試で計四回の受験チャンスがあるため、ここで合格した受験者は三日以降の受験をしないという傾向が強く表れた。こうしたこともあって、昨年より一段と実受験の期間が短くなった。
 

  受験者の併願校数は昨年同様平均五.〇校。一月受験の浸透、午後入試の増加等で、ここ数年、志願者減でも併願校数は減っていない。しかし、保護者の学校研究は厳しさを増している。自分の子どもにどのような教育をしてくれるのか、教育内容を吟味しているからだ。

 


都県別受験数&受験率  2000年~2013年(日能研推定)
 
11年受験者数(人)
首都圏計 60,400

東京   30,000  
神奈川  12,100
千葉    8,200
埼玉   10,100


11年受験率
首都圏計   19.7%

東京     30.0%
神奈川    14.7%
千葉     14.4%
埼玉     15.0%


11年卒業生数(人)
首都圏計 306,747

東京   100,116
神奈川   82,467
千葉    57,013
埼玉    67,151

 

12年受験者数(人)
首都圏計 59,400

東京   29,100  
神奈川  13,000
千葉    7,100
埼玉   10,200


12年受験率
首都圏計   19.5%

東京     29.1%
神奈川    15.9%
千葉     12.5%
埼玉     15.3%


12年卒業生数(人)
首都圏計 305,329

東京   100,024
神奈川   81,788
千葉    56,810
埼玉    66,707

 

13年受験者数(人)
首都圏計 57,600

東京   28,100  
神奈川  12,600
千葉    7,000
埼玉    9,900


13年受験率
首都圏計   18.8%

東京     28.0%
神奈川    15.1%
千葉     12.4%
埼玉     14.9%


11年卒業生数(人)
首都圏計 306,711

東京   100,273
神奈川   83,452
千葉    56,625
埼玉    66,361

 


首都圏中学入試状況推移 (日能研調べ)

2011年  
卒業生数306,747   募集定員45,754  受験者数60,400 受験率19.7%  総応募者数301,666 併願校数5.0  

2/1応募者数42,804


2012年  
卒業生数305,329   募集定員45,981  受験者数59,400 受験率19.5%  総応募者数294,183 併願校数5.0  

2/1応募者数41,619


2013年  
卒業生数306,711   募集定員46,485  受験者数57,600 受験率18.8%  総応募者数288,501 併願校数5.0  

2/1応募者数40,615

 

 

-----出願者数が増えた学校----


自由な校風、国際教育に力
体験型教育、アクティブラーニング等実施

 

 全体の受験者数減が響いて、昨年より出願が増えた学校は多くはない。男子校では、麻布、開成、海城、世田谷学園、栄光学園、サレジオ学院、聖光学院などで増えた。なかでも目立ったのが世田谷学園で、ここ数年連続の出願者増だ。自由な校風と国際教育に力を入れる一方で、進学実績も伸ばしているのが理由だろう。武蔵、筑波大学駒場、浅野も昨年と同等の受験者を集めた。
 女子高では、大妻多摩、吉祥女子、頌栄女子学院、豊島岡女子学園、東洋英和女学院、富士見、山脇学園、横浜共立学園、湘南白百合学園、フェリス女学院などが受験者増となった。大妻多摩は、一日午後入試を新たに設置して人気となり同入試には三百三十九人の出願者を集めた。山脇学園は全ての入試で前年増。サイエンスアイランド、イングリッシュアイランドといった体験型教育「山脇ルネサンス」を進めていることが人気となった。出願者は若干減少したが、桜蔭、鴎友学園女子、豊島岡女子学園、女子学院の高い人気は変わらない。浦和明の星女子も例年通り受験率が高い。

 共学校では、栄東、攻玉社、城北、かえつ有明、渋谷教育学園渋谷、湘南学園などで出願が増加した。このうち栄東は、進学実績が好調なだけでなく、アクティブラーニングを掲げ、情報化・グローバル化社会に対応できる人材育成を打ち出し、人気を高めている。かえつ有明は二〇一三年度から、中一から高一まで男女別学にして男女それぞれの特性に応じた教育をし、高二からは進路別にコース分けをするという、新たな取り組みが評価された。

 地域別に見ると、埼玉は従来から、入試日程が首都圏の中では早い一月に実施されるため、例年腕試しも兼ねて東京・神奈川の受験者も受験する。そのため今年も多くの受験者を集めた。栄東は、前述通りの高い人気となった。開智も変わらず四千人超の受験者を集めた。浦和明の星女子は昨年よりやや減少したが二千人強の受験者を集めた。千葉で出願が増加したのは芝浦工業大学柏、東邦大学付属東邦など。市川は減少したものの第一回は二千五百人強、渋谷教育学園幕張も一次で約千九百人の受験者を集めた。国府台女子の人気は不動。都内で受験者増が目立ったのは世田谷学園。伸びやかな校風と国際教育に力を入れていること、進学実績が上がっていることが人気になったとみられる。青稜は進学実績が伸びたことで人気となった。この四月から授業別学制を導入するかえつ有明も存在感を示した。神奈川では新校舎に移転する中央大学附属横浜(旧中央大学横浜山手)が人気を維持。横浜女学院は、昨年に引き続き人気になった。湘南学園も出願が増加した。企画の練られた丁寧な説明会対応や教育内容、大学合格実績への評価が入試につながった。今年は帰国生入試をするところが増え、百五十一校に上った。理由には、学校の活性化への期待、国際化への対応、海外大学進学への対応などがあるようだ。

 

 

”教育内容をしっかり見せること大事”
 公立一貫校人気持続、すみ分けの進展も

 

  五年後の二〇一八年には今年より小学校卒業者が二万四千人減少する。私立中学にとって一段と厳しい募集環境となる。一定の私学人気は持続するだろうが、一方、保護者の学校選択は多様化している。中高一貫校の人気が低くなったわけではないことは、公立一貫校の人気から見て取れる。今年人気となった私立中学の特徴は、進学実績を上げているだけでなく、現代社会が要請する力を付けようと改革に取り組んでいるところだった。一方では、保護者の経済的負担を軽減する取り組みも必要かもしれない。
 

  日能研進学情報センターは、「今年は、学校改革に取り組んだところが注目された。保護者は自分の子どもにどういう教育をしてくれるかを注視している。説明会を丁寧に行い、教育内容をしっかり見せること、そして出口の実績を示すことが大事だ」と話している。

 

 

 

「公立一貫校について」
 現在、首都圏全体で公立中高一貫校は十八校ある。単純に応募者数を足すと一万八千人を超える。期待されていた白鴎、都立小石川、都立桜修館、都立両国高校附属が出口結果を出し始め、あらためて人気が高まっている。しかし、すみ分けも進みつつあるようだ。都内では、都立小石川が軟化で敬遠される一方で、予想以上の進学実績を出した都立桜修館が人気になった。
 神奈川では開校したばかりの県立相模原が人気を持続し、昨年開設された横浜市立南高校附属は県立相模原以上の受験者を集めている。また県立千葉は、定員男女各四十人に対し形式倍率で男子十四.七倍、女子十二.二倍と、首都圏公立で最も高い倍率を出した。
 来年春には都立立川国際、都立武蔵高校附属、県立千葉が初の卒業生を出す。
 新設も続く。来年は川崎市立川崎高校に中学が、二〇一六年には千葉県立東葛飾高校に中学が併設される。

中学受験 偏差値
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