あえて「中学受験をしない」という選択をしたら


プレジデントから引用

2015.11.23


■付け焼き刃の学力では太刀打ちできない

 中学受験のために小学生の子どもを夜遅くまで毎日塾に通わせるのには抵抗があるという家庭も多いだろう。積極的な意味で中学受験をしないという選択だ。では、中学受験をしないという選択をした家庭の子どもは、小学生の間は毎日ただ遊んでいていいのだろうか。

 ちょっと前までは、それでも良かったのかもしれない。しかし、これからの子どもはそうはいかない。「脱ペーパーテスト」を掲げる大学入試改革や、「グローバル人材」の育成など、日本の従来の教育観を揺るがす議論が今盛んだ。方向性としては、「付け焼き刃の学力ではなく、本質的な学力に焦点を当てよう」ということ。

 しかしここであることに気づいてほしい。これまでは良くも悪くも「ペーパーテスト至上主義」だったからこそ、ぎりぎりまで遊んでいても、ラストスパートで集中すれば大逆転が可能だったわけだ。言い方は悪いが、付け焼き刃の勉強でもなんとかなったわけである。

 でもこれからは、「付け焼き刃の学力では太刀打ちできないようにしよう」という方針で、世の中が動いている。付け焼き刃ではダメ。要するに短期間では間に合わない。つまり「時間がかかる教育をやっていこう」という話なのだ。中学3年生になってから高校受験勉強を一生懸命やればなんとかなるという話ではなくなるのだ。

 中学受験をするのでない限り、小学生のうちは、目先のテストの点数や成績にあまりこだわる必要はない。しかし少なくとも、いずれ高校受験勉強を始めるときに、困らない程度には基礎学力をつけておきたいものである。ではそれは、いったいどの程度の学力なのか。小学校のテストでだいたい80点がとれていればいいのか。小学校の通知表で、3段階評価のうち、真ん中の「2」がほとんどという状態で大丈夫なのか。

 拙著『高校受験のために小学生の親が今からすべきこと』(旺文社)の取材において、高校受験に強い進学塾の講師複数名に話を聞いたところ、「学校のテストは満点が基本です」と異口同音に答えた。「8割とれていればいいんじゃないか」と思っていたお母さん、お父さんも多かったのではないだろうか。たしかにお母さん、お父さんが子どものころはそう言われていたかもしれない。でも今は事情が違う。


■問題を解く訓練が圧倒的に足りない

 2002年から、公立の小学校では「相対評価」から「絶対評価」に成績付けの基準が変わった。以前はクラスの中で上位何%を「評価3」、それ以外の大半の子を「評価2」、今のままではちょっとまずいぞという場合に「評価1」をつけるようにしていた。

 しかし2002年以降は、学習指導要領が定める観点別の学習目標に対して、「十分満足できると判断される」場合に「評価3」、「おおむね満足できると判断される」場合に「評価2」、「努力を要すると判断される」場合に「評価1」がつくようになった。クラスの中での順位は関係ない。

 順位をつける必要はないので、現在の小学校でのテストは、授業でやったことがきちんと理解できていれば満点がとれるようなレベルに設定されている。たくさん丸がもらえたほうが子どもたちのやる気も出る。

 子どもだからおっちょこちょいや珍解答もある。それで95点、90点ということはときどきあるとは思うが、そういった場合でも見直してもう一度解き直せばすぐに「ああ、そうか」と正解がわかるくらいでなければいけない。いくらケアレスミスや勘違いが多いとしても、80点を切るような点数をとっているようでは、小学校のうちにつけておきたい基本事項が理解できていない可能性が高いと考えられる。早めの手当が必要だ。

 さらに、高校受験で難関校合格を目指したいのであれば、小学校の教科書レベルでは足りない。理解した事柄を記憶として定着させ自分のものとするためには、ただ理解するだけではだめなのだ。くり返し問題を解いて、出力しなければいけないのだ。

 しかし、現在の公立小学校の授業の中では、問題を解く訓練が圧倒的に足りていない。よって、授業のその場では一度は理解できたものが、記憶としてなかなか定着しない。ましてや複数の学習単元にまたがる活用型の問題を解く機会はほとんどないに等しいので、小学校の授業の中だけでは、活用型の学力はなかなか伸ばせない。不足分については家庭もしくは塾や通信教育で補う必要があるというのが実情だ。


■学校の勉強を馬鹿にする発言はNG

 たとえば私が実際に目にしたインドの公立小学校の算数の教科書は、日本の教科書よりもずっと厚いものだった。日本と同じように、約数や倍数、速さなどの単元が並んでいるが、基本事項の説明のあとには、必ず単元ごとに応用問題が出されていた。日本でいえば、ちょうど中学受験用の問題集の「基本問題」レベルに相当する難易度だ。それくらいのレベルのことは、インドでは普通にやっているのである。

 「このままでは日本人はアジア諸国の人たちに負けてしまう」などと言って、国際教育や英語教育の必要性を叫ぶ人はたくさんいるが、それ以前に、このままでは基礎学力の部分でどんどん差をつけられてしまうのではないかと、私はそちらのほうが心配だ。

 必ずしもすべての小学生が塾に通わなければならないとは私は思わない。ただし塾に行かないのであればそのぶん親が、子どもの学習状況につまずきや不足がないか、目を光らせなければならない。主要教科に関しては、学校の教科書やドリル以外に、市販の問題集を用意して、家庭でくり返し演習するといい。中学受験用の難しい問題集を買う必要はない。たくさん買う必要もない。ちょうどいいレベルのものをしっかり1冊やるようにしよう。

 ただし一点だけ注意がある。「学校の勉強だけじゃ足りない」ということを子どもに認識させるのはいいのだが、学校の勉強を馬鹿にするような発言はNG。先生や学校そして勉強そのものに対する冷めた態度を育てかねないからだ。

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