中学受験に合格したいなら塾の本質を見抜け

 

東洋経済オンライン 2015.12.18  

 

中学受験の本番まで、地域によってはすでに残り1カ月を切っている。小さな受験生たちは懸命のラストスパートを競い合っていることだろう。塾の先生たちも子どもたちを励まし、ときには心を鬼にして追い込み、教え子の合格を願っているはずだ。


 一方で、毎朝投函される新聞には、たくさんの塾による生徒募集の折り込みチラシが挟まれている。この12月から翌年の2月までが中学受験塾選びのピークだ。現在の小学6年生が入試を終えると、中学受験塾ではすぐに新年度が始まる。

 「新小学4年生」と呼ばれる小学3年生の2月から塾に通い、受験勉強を始めるのが中学受験塾のスタンダードだ。ちょうど丸3年間を塾で学ぶことになる。

■ 中学受験勉強はゴールのわからないマラソン

 しかし「新小学4年生」の時点で、「今の自分の学力はこの程度だけど、最終的に必要になる学力はこのレベルだから、これからの365日×3年間で毎日これくらいずつ勉強しなければいけない」などと考える小学生などいるわけがない。

 「とにかくがんばらなければならない。でもいったい何をすればいいの?」というのが小学生。そこが高校受験や大学受験とのいちばんの違いだ。まるでゴールがどこにあるのかすらわからないマラソンを走っているようなものである。

 想像してみてほしい。「あなたにはこれから3年間、毎日走ってもらいます。しかしゴールまでの距離はわかりません。とにかくずっとずっと遠くです。でもとりあえず走り続けてください」といわれて走り出すことを。そんな状態で、しかも小学生に、「とにかく自分で考えて走り続けなさい」と言うことはほとんど拷問。肉体よりも先に精神がやられてしまう。

 「何かをしなければいけないプレッシャーをひしひしと感じながら、でも具体的には何をしていいのかが明確になっていない」というのは、人間にとってたいへんつらい状態なのだ。

■ 塾の違いはスモールステップ(短期目標設定)に表れる

 そこで、現在地からゴールまでの距離と方向を知っていて、期限までの日数で毎日走るべき距離を割り出し、ペース配分を考えてくれるコーチが必要になる。

 コーチは、「今日はとりあえずあの電信柱まで全力疾走しよう!」などと小学生を鼓舞する。小学生も「うん、わかった!」と電信柱のことだけを考えて走る。

 電信柱まで到達すると、「うまく走れたね!」とか「ちょっと調子が悪かったかな?  どこを改善しようか」などと励ましながら、「じゃ、次はあそこの橋のたもとを目指してみよう!」と続く。

 それを繰り返すことで、いつの間にかとてつもない距離を小学生に走破させ、小学生の目にもゴールが見える場所まで導く。最後は子ども自身がゴールに向かってラストスパートする。それが中学受験勉強だ。

 本当にきついのはラストスパート。そこだけを切り取ると中学受験は過酷なレースだ。しかし、ラストスパートまでの道のりは、いろんなタイプの小学生と、それを応援する親と塾の講師の、笑いあり、涙ありの珍道中。その道先案内人が、中学受験塾の役割ということになる。「千里の道も一歩から」。短期目標設定の仕方が中学受験塾の腕の見せ所である。それが子どもに合っているかどうかが、塾選びの肝となる。

 合格実績はもちろん大切だ。自分の子どもの学力に合う塾を選ぶのが前提。そのうえで、志望校合格という目標を、どういう基準で小さな目標に切り分けるのか、どういう動機付けでそれに取り組ませるのか、達成感はどんな形で味わわせるのか、いかに忘却曲線にあらがうのかに注目してほしい。

 

それが各塾の考える「子どもを伸ばす仕組み」であり、私はそれを「スモールステップ」と呼んでいる。

■ 「週テスト形式」か「復習主義」か?  親の関与度は? 

 かつては「週テスト」形式が人気だった。毎週決められた単元について学び、その成果を週末のテストで試す。毎週末テストがあることについては「小学生なのにかわいそう」という批判があるが、「がんばれば良い点がとれる。がんばらなければやっぱりだめ」という単純明快な目標設定が小学生にはわかりやすいのである。「週テスト」という区切りがあるからがんばれる。

 それが、大きな目標を一度に視野に入れることのできない小学生への思いやりなのだ。ただし、目先の単元別テストの点数ばかりにとらわれてしまうと、総合的な実力が身についていないことがあるという落とし穴がある。

 もう一つ、最近流行しているのが、週末のテストがない代わりに大量の宿題が出されるパターン。とにかく目の前の大盛りの宿題を消化することだけを考えればいい。授業で習ったことを家庭で反復練習するスタイルであることから、「復習主義」などとも呼ばれる。

 「大量の宿題」についてはやはり「かわいそう」と批判があるが、これも、思いやりである。余計なことは考えず、とにかく目の前のことに集中すればいい状況を作ってあげているのだ。ただし、消化不良が怖い。周りの大人が適量を見守ってあげることも必要だ。

 あえて違いを明確にするならば、「週テスト」形式の塾は「メリハリタイプ」の子ども向き、「復習主義」形式の塾は「コツコツタイプ」の子ども向きといえる。

 「週テスト」方式を採用していることで有名なのが四谷大塚、「復習主義」で有名なのがサピックスである。

 最近勢いのある早稲田アカデミーはこの両方のハイブリッド型。週テストもあるし、大量の宿題もある。逆に、サピックスほど宿題は多くなく、週末のテストは2週に1回という中庸スタイルが日能研だ。

 

関西では、浜学園、日能研関西、希学園、馬渕教室が灘中合格実績で上位。いずれも復習主義を掲げているため、各塾がスピードと量を競い合う青天井の競争状態になっている。これらの塾の演習量とスピードは、関東のサピックスを凌駕するというモーレツさだ。

 ということは、子どもにどこまでやらせられるかが勝負の決め手になってしまう。そこで、関西では授業の後に自習室で勉強させたりオプション講座で演習量を稼いだりする塾が多い。塾での拘束時間が長ければ、それだけ親の関与度は下がる。関西では、塾での拘束時間が塾選びの一つの基準になる。

■ 合格実績やセールストークに惑わされてはいけない

各塾の「スモールステップ」の違いについては拙著『親が後悔しない、子どもに失敗させない 中学受験塾の選び方』に詳しく記した。関東の大手7塾(日能研、四谷大塚、サピックス、早稲田アカデミー、栄光ゼミナール、市進、ena)と関西の大手9塾(浜学園、日能研関西、馬渕教室、能開センター、成基学園、第一ゼミナール、進学館、希学園、京進)の「スモールステップ」を徹底的に取材した。 どんなにベストを尽くしても志望校に合格できるかどうかがわからない。それが中学受験。だからこそ、「この塾が最高。ここでダメならしょうがない」と思える塾を選ぶことがことさら大切だ。

 合格実績だけにとらわれたり塾のセールストークに惑わされたりせず、しっかりと「スモールステップ」を理解して中学受験塾を選んでほしい。

 

 

中学受験 偏差値
中学受験 偏差値
サピックス、四谷大塚、日能研、早稲アカ
帰国子女
家事代行なび
家事代行なび

資料請求は無料です。いざという時に持っておくと便利です

押してください。

情報収集にどうぞ

  ↓

にほんブログ村 受験ブログ 中高一貫校受験へ

 

にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(本人・親)へ

 

にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(指導・勉強法)へ


トップページで

おすすめ書籍を掲載しています。

参考にしてください。こちら