きみが塾で感じる「小5ギャップ」…森上展安

 

2014年4月10日 読売新聞

 

 

みんなが幼稚園や保育園から小学校に上がったとき、きっととまどいがあったと思います。

 集団行動になじめなかったかもしれません。それは「小1ギャップ」とか「小1プロブレム」と呼ばれます。ギャップという英単語は「広辞苑(こうじえん)」(第四版)という辞書によると、「割れ目、すきま、間隙(かんげき)」「へだたり、食い違い」などとあります。プロブレムとは「問題」という意味です。小学校から中学校に上がる時に、中学校の文化にうまく入っていけないということを「中1ギャップ」などとも言います。

 この二つのギャップは新しい学校に入るという区切りがあるので自覚しやすく、事前によく心掛けさえすれば、大きな問題にならないとも言えます。

 しかし、中学受験に向けて勉強を始め、塾通いをしていると実に多いのが、小4から小5に上がるときの「小5ギャップ」です。多くの小4生と小5生が塾で体験することですが、目に見える形のギャップかというと、全くそうではありません。

 

 

学校の区切りがないので、段差に気づきにくい

 

 塾は学年を上げるための進級テストがありません。切れ目なく進級していきます。

 でも小4と小5の内容では、辞書にいう「へだたり」があります。それは確かにここからは「小5」ですよ、とは書いていますが、学校の区切りがないまま陸続きのように小4から小5に進むので、大きながけのような段差があるとは気づきにくいのです。ギャップはあるのに見えない。そのために苦しんで、小5の授業についていけないということが起こりがちなのです。

 

 

塾をかえる友達も多い

 

 このため、小5で塾をかえる、ということも起こります。私も以前、何度かアンケートをとったことがありますが、多くの中学受験生が、小5で塾をかえていました。

 できれば同じ塾を続けた方が、費用もかからず(入塾金などの費用がその都度発生します)、また友達を新しくつくる必要もないので、かえないにこしたことはありません。そうは言っても、塾で教えられる内容がよく理解できず、単元ごとの定着をみるテストなどの成績が悪い、ということが続くと、もう少しわかりやすい塾にかえることも考えないわけにはいきません。

 ただ、元の塾に仲の良い友達がいたり、新しい塾がこれまでと違うやり方だと困ったりすることもあります。

 ともあれ、中学受験の塾通いには「小5ギャップ」があるということをまずは知ってください。

 なお、都市部にみられる塾通いの場合は小5ギャップですが、地方都市は1年始まりが遅いので、その場合は「小6ギャップ」と考えればいいでしょう。

 

 

なぜギャップが生じるのか

 

 もう少し具体的に、なぜ「ギャップ」が生じるのか考えてみましょう。

 それは大都市の塾での小5と小6の授業(地方都市での塾の小6の授業)は、中学入試の出題内容そのものを学びやすく整理したものだからです。大都市の塾での小4(地方都市の塾での小5)までは、そのための助走のような役割を果たすもので、受験勉強がスタートしやすい内容になっているのです。

 急に入試レベルの問題になるため、学習内容が飛躍的に難しくなるのです。

 できるだけ理解しやすい内容にしてありますが目標は入試突破ですから、一定のレベルは保ちたいのです。そこに段差が生じて、わかりにくさが生まれるのです。

 

 

自分だけの「ドジノート」作ろう

 

 さて、その解決法はどうすべきでしょうか。

 解決法は三つあります。一つ目はすでに言いました。そういうギャップがあるのだ、と自覚をすることです。そこに乗り越えないといけない高いハードルがあるなら、それを意識して臨めば乗り越えやすくなります。しかしそこをあまり意識せず、これまでと変わらない調子で挑戦すると成績が伸びないという結果につながりかちです。

 二つ目は、できるところでしっかりやって、それで力をつけて高い難度に挑戦する、という方法です。これは塾をかえる、という方法よりも安定していて取り組みやすいでしょう。具体的には、塾のテキストの中からやさしい問題を選んで確実にマスターするのです。決して難しい問題に手を出さない。出してもよいのですが、解けなければしばらく放っておくことです。わたしはこれを「スキップ法」と名付けてみました。できる問題をきちんと解く努力を続けていけば、必ずその次には難しいと思っていた問題もやさしく思えるものだからです。

 三つ目は生活習慣を変えることです。難しい問題を考えるのに、これまでのやり方や時間の使い方では間に合わないことは理解できるでしょう。

 たとえば、間違った問題はきちんとノートに書き出し、どこまでわかっていたか、どこに解くカギがあったか、という点をカラーでしっかり目立つように記し、自分自身の教科書というべきノートを作りましょう。先輩の受験生は以前からこれを「ドジノート」などと呼んできました。こうした勉強の習慣はこれまでより時間もかかりますが、毎日やり遂げることが大切です。





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