兄が中学受験全敗、弟にどうさせればいいか

 

東洋経済オンライン

 

 

去年、長男が中学受験に全敗しました。先生から「今どき珍しい子供らしい子供だ」と言われるほど、ゲーム遊びなどより公園で友達と遊ぶのが好きな子でした。そんな子を、近くに文武両道の親子共々惚れ込んだ学校に行かせるため、4年生から進学塾に通わせました。


最後の1年間は夕日の色も見ることもなく、塾に通い頑張っていました。しかし、いくら注意しても復習を徹底しない癖があり、成績は伸び悩みました。夫の、この勉強方法で受かる学校に行けば6年間これでいいと思って大学受験で苦労する。第一志望だけ受けてダメならそこから自分の弱さを学んで公立でやり直し、高校受験をさせようという方針で、1校のみ受けました。

 

結果は不合格。今は地元の公立に行き運動クラブに入り、自分で選んだ進学塾で地元のトップ公立高校に行くと頑張っています。不合格当時の息子の心情を思い出すだけで不憫で胸がいっぱいになりますが、今はハラハラしながら、息子を見守っている状態です。
前置きが随分長くなりましたが、次男が来年受験します。私は長男同様、次男も受験せず公立に行ってほしいと正直思っているのですが、本人が今更塾を辞めたくないといい、兄が落ちた同じ学校を志望しています。


夫は頑張るだけ頑張ってダメなら公立、という方針を変えるつもりはありません。
今年の合格発表シーズンに、あの長男の不合格が決定した気持ちがよみがえり、不安で涙が止まらなくなりました。母親がこんな気持ちでどうするのか!  と子供が下校するまでには切り替えようと思いますが、どのような心構えを持つべきか、パンプキンさんの意見をぜひ聞きたいのです。
また兄がどうしても行きたくて落ちた学校を弟が受け、仮に合格して楽しそうにしている姿を、兄はどう思うかも心配です。どう思われますか?  弟が受験を終わった中1の時、兄は中3になります。
南田(仮名)

 

南田様の今のお悩みは、2つですね。ご次男がもしまた、ご長男の時のように結果が出なかったら本人がかわいそうで、それを考えるだけで自分も涙が止まらないほど不安になること。もうひとつは、首尾よく次男が合格した場合、その学校に行けなかった受験年を迎える長男が不憫だという問題ですね。

 2人以上の子供を受験させた親御さんの中には、このような問題で悩まれた方は少なくありません。これはあなたの特殊な悩みでないことはわかります。そのことを理解したうえで申し上げますが、あなたの考え方が余りにもマイナス思考すぎます。そして、一緒に育児されておられるご夫君の育児方針に、私は全面的に賛同します。ご夫君も同じようなご懸念が、ご心中に無くもないと思います。でもそれは表に出してはいけないことで、子供さんの挑戦を見守るのが親の務めです。

■ 親のマイナス思考で足を引っ張ってはいけない

 よいお手本がそばにあるのです。あなたの今のお悩みの解決の最大の鍵は、あなたご自身の心の持ち方を、もっとポディティブにすることだと感じました。子供さんが帰宅するまでに、あなたは心を切り替えるよう努力なさっておられるとのことですが、子供は敏感です。長男への下手な同情、それを含めての次男の受験へのマイナス思考は、結局2人から見れば、あなたは「ウザイ」存在になりかねません。このような心理状態は息子さんたちに伝わるもので、なんの応援にもなりません。

 あなたがご次男に受験を止めさせようとされた理由が、縁起でもないことですが、万が一、不首尾に終わった場合に、またまた次男が不憫だという理由からでしょうか?  あるいはご自身が、まずその不安から逃れたかったからでしょうか?  長男の心情をおもんばかってでしょうか? 

 いずれにせよ志望校が決まり、自主的に志をもって頑張っておられるご次男に、塾を辞めて公立に行くことを母親が勧めたのは、賛成できません。これからの息子さんの人生で、数えきれないほど待ち受けている挑戦の第一歩です。挑戦せねばならないたびに、それを避けて通ることは不可能です。ならばこの年代から、本人が挑戦したいと思ったことにはどんどん挑戦させ、その環境を整えることで応援するのが親の務めです。

 

万が一、もし良い結果が出なくとも、息子さんがそこから学び反省し、立ち上がる方法を体得していく絶好の機会なのです。

 ここで公立中学についてのあなたのお考えにも、少し違和感があります。ご次男が公立へ行けば、あなたの不安はすべて解消されるでしょうか?  不安を先延ばしにするだけではありませんか?  私の地方では、府内1~2の私立の進学校より、公立校から偏差値の高い大学へ進む子弟もザラにいます。公立校にもいろいろランクがあるでしょうが、どこの学校へ行っても、向上心を持って挑戦し続けることなしに、成長はないのです。

 ですからご次男が公立へ進んだ場合に解消されるあなたの心配ごとは、長男が次男に引け目を感じず、ゆえにその分焦らず、長男は受験勉強に打ち込めるだろうという思惑くらいでしょうか。これは次男にとっては犠牲が大きすぎ、長男にとってもよくないことです。次男は長男の唯一のライバルではありませんから。

■ 競馬レースは先頭馬の出来で決まる

 私の友人で、かなりハイソサエティに属している人がいます。ちょっと私が気遅れするほど私たちの生活環境は違うのですが、あまりにも魅力的な方なので、お誘いがあれば必ず出かけてお会いする仲になって30年です。

 まず彼女は、「私は賢くないから」が口癖です。それが嫌味にならないほどいつも控えめなのですが、賢くないどころか彼女の考えはいつも賢明で堅実・正直、言葉は優しさにあふれています。

 その彼女の次男が、地域の最高の進学校に合格しました。2歳上の長男は、私立でもやや偏差値が低い中・高一貫校に通っています。次男が合格したその日、彼女は二人を前に言ったそうです。

 「あのね、競馬でも先頭の馬が倒れたら、関係のない後続馬も倒れるのよ。それくらい先頭馬の役割は大切なの。我が家で言えば先頭馬は長男で、長男は我が家で、つまらないことで家族がつまづかないように走る責任があるの。

 通う学校の偏差値は、次男が上かもしれないけれど、それだけのこと。それを2人それぞれに、人間の値打ちに差がついたように勘違いして、兄が自信を失くしたり弟が兄を見下ろしたりすることは、絶対に許さないからね」。

 「アスコット競馬場に行ってきた」と言っても違和感がない彼女の口から、「競馬レース」が出た時には驚きました。彼女はいつも絶妙なタイミングで心有る言葉を紡ぐ、とても魅力的な人です。

 

すべてのきょうだい仲がそうだとは申しませんが、きょうだいの仲を決めるのも、親次第です。親が良かれと思ってした行為でも間違っていれば、それが裏目に出るほど責任は重大です。先の友人の兄弟はその後、大学や就職では、単純な世間のランク付けに従えば、弟がいつも上だったかもしれません。

 しかしそんなこと、長男の方はどこ吹く風で、いつも弟のチャレンジとその成功を喜ぶ兄でした。これは親としての私の友人の、いつも変わらず、「2人とも同じように大切」「通学する学校のランクと人間の価値はまったく別」と心から思い、息子たちに最初の日からそれを強い意思で伝えたことを抜きにして考えることはできません。

 否、それより以前から子供たちは、慎み深く言葉は少ないけれど愛情深い母親から、そのことは感じ取っていたことでしょう。思うに兄もいつも彼流に成長を続け、素直に弟の喜びは自分の喜びとする子でした。そして何かにつけて弟から頼られる兄で、今もとても仲が良いです。

■ 失敗を恐れない子に育てよう

 南田様、「笑う門に福来る」とか「病は気から」など、心の持ちようで運気や環境が良くもなり悪くもなる名言は多いです。これらが単なる気休めでないことを証明するのは簡単です。

 日常の営みにおいて、プラス思考かマイナス思考かで随分、その後の行動が違ってくるのです。たとえば、あなたが積極的なご次男の応援者だとします。そうすれば晩ご飯は消化が良く栄養が高いものを、あれこれ考えるでしょう。寒い受験シーズンに合わせ、暖かい衣服が目に入れば、買っておくでしょう。内心、塾を辞めてくれればいいのにと願い、その心を子供に見破られまいと努力しているレベルでは、あなたの行動も随分制限されたものになるはずです。

 打たれ強い子に育てることは、大切です。失敗を恐れず挑戦し続ける子に育てるのも、親の愛情です。苦い体験や思いどおりにいかないことからしか学べないこともいっぱいあるのです。あなたの場合、下手な同情や過保護は、2人の子どもをスポイルするだけです。

先月、出させていただきました「一流の育て方」という本で特に強調しているメッセージが、1.失敗を恐れず、失敗から学べる子供に育てる大切さ、2.子供の挑戦を自分の価値観で阻まない大切さ、そして3.親がポジティブ思考で、子供の挑戦を応援する大切さです。 長い人生、子供は競争社会に出されるのですから、学生時代に競争を避けさせて過保護に守っても、結局は子供のためになりません。また子供の挑戦を親が阻むことほど、将来、親子関係に遺恨を残すこともないのです。

 まずは、あなたがいろいろなお手本を参考にされ、もっとポジティブな考え方をする人になってください。子供はこういう時の親の行動を、しっかり見ていますよ! 

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