中学受験の不合格をどう受け止めたらいいか

 

 

中学受験の不合格をどう受け止めたらいいか

 

 

 今年も中学受験シーズンが終わった。頑張って勉強してきた子どもの合格に沸いた家庭は至福のひとときを味わっただろうが、一方で、残念ながら不合格に終わってしまった子どもの親は落胆し、ひょっとしたら自分を責めているかもしれない。


■ 「勉強しなさい!」は言いたくないけれど……

 「勉強しなさい!」と言えば言うほどに、子どもは勉強をしなくなるというのは、今では広く知られるようになった。「東大生の多くは、親から『勉強しなさい!』と言われたことがない」などの調査結果もある。

 しかし特に受験を意識しはじめると、できるだけ言わないほうがいいとは百も承知なのに、我慢できなくなり、「勉強しなさい!」と怒鳴ってしまう親は少なくないだろう。受験には期日が決められているからだ。「誰だっていつか必ず勉強の楽しさや意味に気づく」という正論も、入試日までのカウントダウンをはじめた親子には通用しない。

 親の関与度が高い中学受験においては、ことさらその傾向が強い。つねに親がけしかけて、子どもを勉強させる場合も多い。子どもには逃げ場がない。ほとんど「教育虐待」のようになってしまう場合もある。

教育虐待とは、「あなたのため」という大義名分のもとに親が子に行ういき過ぎた「しつけ」や「教育」である。教育虐待の実態については拙著『追いつめる親 「あなたのため」は呪いの言葉』(毎日新聞出版)に詳しい。

 

 

■ 結局のところ、親は実は無力である

 「子どもの出来は親次第」という幻想があるから、親は、自分の親としての実力を証明するために、子どもの学力や学歴を欲するようになる。頭ではそんなことは考えていないと思っていても、ほとんど無意識のうちに、それを望むようになってしまう。

 子どもが育つうえで、もちろん親の影響力は絶大だ。しかし、あえて言いたい。結局のところ、親は実は無力であると。受験はそのことを思い知るいい機会になる。

 親になると、子どものためにあれもしてあげよう、これもしてあげようという気持ちに駆られる。しかし、あれこれしたことが、そのまま親の期待通りの成果をもたらすとは限らない。むしろそうならないことのほうが圧倒的に多いだろう。親の意図とはほとんど関係のないところで、子どもは育っていくのである。

 あるいは「あのとき自分があんなことを言わなければ、自分があんな判断をしなければ、子どもはもっとのびのびと勉強して、もっと実力を発揮できたかもしれない」と思う親もあるかもしれない。ただ、そのようなことはどこの家庭でも多かれ少なかれ経験する。それが結果を決定づけたわけではない。子どもはそんなに弱くない。

■ 「あなたは私がいないと何もできない」

 子どもは親の思ったとおりには育たないが、それなりのものには必ず育つ。親がよほど余計なことをしなければ。私はそう思う。

 「わが子のために」とあれこれ考えるのは親の性。それは私も否定しない。しかしだからといって、子どもが期待通りの結果を返してくれることを期待するのは親のエゴである。子どもは親のために生きているわけではない。子どもは親の望む人生を生きるのではない。子どもが自分の力で自分の人生を切り開いてこそ、生きている実感を味わえる。親ができることは、子どもを励まし、見守ることだけだ。

 

 

それはときに非常に苦しい。つい手を出してやりたくなってしまうことも多い。だが、求められてもいないのに、親が子どものやることに勝手に手を出すことは、子どもに「あなたは私がいないと何もできない」というメッセージを伝えることにほかならない。それではいつまでたっても精神的に自立できない。自分の人生を生きている実感を味わえない。代わりに生きづらさを感じながら生きることになる。自分ではない誰かのせいにしながら、誰の人生だかわからない人生を歩むことになる。

 有名大学出身の親が、自分と同じように育てたからといって子どもが同じように有名大学に行けるわけではない。しかしだからといって、その子が、その親よりも不幸な人生を歩むことになるわけでもない。親よりもよほど幸せで充実した人生を歩むかもしれない。

■ 「合格=勝者、不合格=敗者」ではない

 「あなたのため」という言葉を武器に過干渉を続ける親に育てられ、「生きづらさ」を感じ、自分らしく生きられない子供側の様々なケースを紹介。教育虐待の闇を照らし、その社会的背景を考察し、「教育とは何か?」「親の役割とは何か?」というテーマに踏み込む。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

 逆に、ギリギリまでお尻を叩いて追い込んで、結果的に第1志望合格を成し遂げたとしても、その後、まったくやる気を失ってしまうこともある。親の思い通りの人生を歩んでいるように見えて、実は本人は生きづらさを感じている場合もある。

 毎年、中学受験で本当の意味での第一志望校に合格できるのはごく一握りの子供だけ。しかし「合格=勝者、不合格=敗者」なのではない、大事なのはそこから何を学ぶかだ。

 人生における選択の善しあしは、決断したときに持っている情報量やそのときの判断力が決めるのではなく、その後の努力が決める。それが入試の選択問題とは決定的に違う。どんな不利な選択肢を選んだとしても、あとからその選択肢を最善のものに変えることができる。それが人生だ。

 子育ては思い通りにならないことの連続。子育てにおいて大切なことは、起きてしまったことを否定するのではなく、それを糧にするにはどうしたらいいかを考えることだ。望ましくないことが生じてしまったとき、それを今後の糧にすることができるかどうかが、その人の強さである。親も強くならなければいけないし、子どもにもその強さを学んでもらわなければいけない。

 

2016.2.26   東洋経済オンラインから引用

 

 

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